香川県

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出会うはずのなかった他者に出会う意味

「公開ワークショップ 話そう!広めよう!食べるだけじゃない!?こども食堂で起きていること」in 香川 開催レポート

こども食堂10周年記念全国ツアー「公開ワークショップ 話そう!広めよう!食べるだけじゃない!?こども食堂で起きていること」。

全国47都道府県でワークショップを開催しよう!という本ツアー、第7回目の開催地は香川県。2023年6月27日、香川県社会福祉総合センター7階大会議室にて開催されました。

香川県内のこども食堂をはじめとする支援の場は約100カ所。最近では支援してくださる企業も増え、増加傾向にあります。コミュニティづくりや貧困対策のためなど、こども食堂を立ち上げる動機はさまざまです。

現在こども食堂を運営されている方々は、どのような想いで地域の人々との関係を築いてきたのでしょうか。登壇者のみなさまに、これまで実際に出会った人たちとの印象深いエピソードや食堂の魅力について語っていただきました。

いつも誰かの憩いの場所に、 こども食堂

      本ツアーで実施するワークショップでは、こども食堂の運営者のみなさまに、1人ずつ「活動していてよかったエピソード」を伺います。どのエピソードも、気づきがあったり、心が温まったりするものばかり。そのうちいくつかを抜粋してご紹介します。

子どもだけでなく、お母さんも荷物を下ろせる場に

ドキドキ食堂 つ☆な☆ご(丸亀市) 山田明子さん:

こども食堂を始めてから、同じ集合住宅内で見かける母子のことが気になって仕方がありませんでした。彼女は赤ちゃんを背負い、未就学児の手を引いていつも暗い顔をして歩いていました。あるとき思い切って「こども食堂をやっているので来てくださいね」とお声がけすると、「行きます!」と一瞬で晴れ晴れした表情に。その後、母子は頻繁に参加してくれるようになり、「ここに来るだけで元気になる」と言ってくれるようになりました。もともと私がこども食堂を開設しようと思ったのは、特別支援学校で勤めていたとき。最後に担任を持った、中学3年生女子生徒の存在がきっかけでした。いじめやネグレクトを経験しながらも成長していく姿を見て、彼女のような子どもたちの居場所を作りたい、と思ったからです。でも実際に運営していく中で、自分たちの活動が子どもだけでなく、日々がんばっているお母さんたちの負担軽減にも一役買えていることを実感して、こちらが元気をもらっています。

どきどき食堂 つ☆な☆ご(丸亀市) 山田明子さん

子どもたちの「心」がひと息つけるように

ひまわりるーむ(三豊市) 林あつ子さん:

「こんにちは!」と大きな声で挨拶をして、真っ先に走って来る小学4年生の男の子は、通い始めた当時、いつも怒った顔をしていました。お父さんは威圧的で、お母さんは仕事で忙しく、下に3人いる弟妹の面倒を見なくてはならないという家庭環境のせいだったのかもしれません。半年たった今では表情が柔らかくなり、チック症状も収まって、声のトーンも変わりました。手伝いにも積極的に参加し、中心的存在として子どもたちを引っ張ってくれています。

ひまわりるーむは、関係機関からのお問い合わせやご紹介を通じて、いじめや居場所のない子どもたちの学習支援の場として週に2回開設していましたが、長期休暇や休日には参加者みんなでご飯を作る形でのこども食堂を始めました。子どもたちが安心して息抜きできる場所を提供できていると思うと嬉しいです。

ひまわりるーむ(三豊市) 林あつ子さん

「出会うことのなかった人たち」が交わって生まれるもの

ひみつきちてつや(多度津町) 氏家法雄さん:

私たちの法人は訪問介護やデイサービスを運営していますが、多世代が混ざり合うことでできることがあるのではないかと、こども食堂の活動を始めました。はじめは大人中心でしたが、友が友を呼び、しだいに子どもたちも参加するように。併設のデイサービスにも声をかけ、高齢者の通いの場と同日開催にすることで、多世代が集う場になっています。

98歳のハルさんは、毎回別のデイサービスに通った後に来所。割烹着を着て、ボランティアと一緒に調理に参加してくれています。92 歳のマキオさんは、口では「子どもの顔を見て何が楽しいんだ」と文句を言っていますが、子どもたちのために折り紙を折ってきてくれ、3歳児とは毎回ハイタッチして帰る仲になるほど。一人暮らしの高齢者が増え、子どもの数が減少する中、普段の暮らしで子どもに会ったり、声を聞いたりすることが少なくなってきています。一方、子どもも親以外の大人に接する機会が減ってきています。これまで出会うことのなかった人同士が交わり、つながりを生む拠点であるこども食堂の意義を感じています。

ひみつきちてつや(多度津町) 氏家法雄さん

こども食堂は、他人の想いに気づく場所

こども食堂を運営している方々の声を聞き、参加者のみなさんから感想が寄せられました。一部をご紹介します。

――以前に自分がこども食堂を運営していたころは、生活が困難な子どもたちに向けて活動していましたが、今はそれだけではないのだと認識できました。

――運営されている方が、子どもたちだけでなく高齢者なども含む利用者さんの小さな変化も捉えられていて、素晴らしいなと思いました。

――こども食堂を始めるきっかけはそれぞれに想いがあったことを知りました。いろいろな想いを持つ人同士をつなげる仕事をしているので、これからも出会いの場をたくさん作っていきたいです。

――近隣のこども食堂は今のところ子どもが集まるのみだが、今回の高齢者施設での運営のお話を市内の高齢者施設と共有したいと思います。

こども食堂でひと息つこう!

「こうあるべき」という決まった形がないのがこども食堂の良さ。どのような想いで始められたのか、登壇者のみなさまのお話を聞くことで、こども食堂が持つ多様な役割を知ることができました。また、こども食堂が第3の場所となって、さまざまな世代の人たちの交流や安らぎの場となっていることを感じる時間でした。

感想をシェアする時間には、これからこども食堂を運営してみたいという声もあがり、今後ますますつながりが活発になっていくことが楽しみです。

香川県でこども食堂の運営に尽力されているみなさん、ワークショップへのご協力を誠にありがとうございました!

【開催概要】

「公開ワークショップ 話そう!広めよう!食べるだけじゃない!?こども食堂で起きていること」in香川

開催日:2023年6月28日(土)13:00-16:30

開催場所:香川県社会福祉総合センター7階大会議室(香川県高松市)

主催:社会福祉法人香川県社会福祉協議会(https://www.kagawaken-shakyo.or.jp/)・特定非営利活動法人全国こども食堂支援センター・むすびえ     

登壇者:山田明子(どきどき食堂 つ☆な☆ご/丸亀市)、林あつ子(ひまわりるーむ/三豊市)、氏家法雄(ひみつきちてつや/多度津町)、大喜多恵子(みんなの広場koko食堂/観音寺市)、伊澤貴大(りこのキッチン/高松市)

※こども食堂名五十音順

ファシリテーター:湯浅誠(特定非営利活動法人全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長)、梅林千香子(特定非営利活動法人全国こども食堂支援センター・むすびえ)