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寄りそうことを諦めない、信じる先に続く未来

「公開ワークショップ 話そう!広めよう!食べるだけじゃない!?こども食堂で起きていること」in北海道 開催レポート

こども食堂10周年記念全国ツアー「公開ワークショップ 話そう!広めよう!食べるだけじゃない!?こども食堂で起きていること」。

全国47都道府県でワークショップを開催しよう!という本ツアー、第8回目の開催地は北海道。2023年7月2日、こども食堂北海道ネットワークの主催で、札幌国際ビル・国際ホールにて行われました。

今回は、こども食堂を運営されている方だけでなく、活動を支援していただいている事業者や地域活動を行う学生団体の方など、130名もの方にご参加いただきました。北海道はエリアが広いため、まだこども食堂が開設されていない地域がある一方、札幌市では順調に数が増えています。本イベントをきっかけに、北海道全体にこども食堂の認知が広がっていくことが期待されます。

それでは、今回も登壇者のみなさまが実際に経験したエピソードをもとに語られた、「食べるだけじゃない」こども食堂の魅力をご紹介します。

レストランのブースに座っている人たち

低い精度で自動的に生成された説明

作り手と利用者が心を寄せあう、こども食堂

本ツアーで実施するワークショップでは、こども食堂の運営者のみなさまに、1人ずつ「やっていてよかったと感じるエピソード」「忘れられないエピソード」を伺っています。どのエピソードも、ハッとさせられたり、心温まったりするものばかり。特に印象的だったエピソードを抜粋してご紹介します。

こころのドアが開くことを願って

こども食堂ぐれ~す(札幌・手稲エリア) 亀岡純子さん:

今でもどう対応すればよかったのか考え続けている、あるお母さんとの出来事があります。その方はシングルで子ども4人を育てている外国籍の方。初めて来た時に「今日はお金がないので、参加費が払えない」という話があり、その後のやりとりでかなり困窮している様子が見えてきました。体調不良のメールがあったときには、特別にこども食堂の食事を届けたり、個人的にお菓子を持って行ったりしたことも。振り返ってみると、それがよくなかったのかもしれません。あるとき、彼女からお金を貸してほしいと頼まれたのです。さすがにそれはできないと、行政へ相談に行くことを持ちかけたりしているうちに、突然連絡がとれなくなってしまいました。

「ドアの取っ手は向こう側」という言葉があり、私たちもかかわりにおいて「こちらから無理やり開けることはしない」と心がけていたのですが、今回の私はドンドンとドアをたたいてしまったのかもしれません。支援のあり方について、改めて考える機会になりました。

支援を必要としている方は多くいらっしゃいます。仲間と連携して、今後も食堂に足を運んでくださる人たちに寄り添い続けていきたいと思います。

電話をかけている男性

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こども食堂ぐれ~す(札幌・手稲エリア) 亀岡純子さん

得意を育てて居場所をつくる

旭川おとな食堂(道北・旭川) 岡本千晴さん:

スタッフも対応に困るほど口が悪く、手も早くて、すぐにみぞおちにパンチをしてくる女の子がいました。私たちは、みんなでつくってみんなで食べるスタイルで食堂を開催しているので、彼女ももちろんみんなと一緒に料理をします。最初は失敗続きだった彼女でしたが、いつしか料理の腕はピカイチに。卵焼きが作れるようになってからは、毎回彼女が卵焼きをふるまってくれるようになったので、予定のメニューにない時も卵は用意するようにしていました。「誰かに食べてもらう喜び」を感じていたのだと思います。ただ、2年間通っていても乱暴な行動は続き、この場所についてどう思っているのかはわかりませんでした。ところがあるとき、年に一度の周年行事で私に手紙をくれたのです。開いてみると、そこには感謝の思いが綴られていました。中には「私はここが好き」という言葉も。まさか彼女からそんな言葉が聞けるとは思わず、熱い思いがこみ上げてきました。今では彼女も就職し、人づてに頑張っていると聞いています。彼女のことは、続けていてよかったと思える大切なエピソードです。

壁の前に座っている女性

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旭川おとな食堂(道北・旭川) 岡本千晴さん

子どもの成長を見守る喜び

地域食堂かば亭(札幌・豊平エリア) 井上寿枝さん:

コロナ禍前から、少し気になっている子がいました。寒い時期でも半袖で遊んでいることが多く、心配だったのです。こども食堂には来たり来なかったりでしたが、ようやく来る方が多くなってきたところにコロナ禍となり、こども食堂は一時中止に。なんとか再開したときにはまた来なくなってしまいました。それでも、学童保育の指導員をやっているスタッフが顔を見るたびに声をかけ続け、ようやくまた来てくれるようになりました。その子が6年生の後半になる頃、「中学生になっても来ていいの?」と聞いてくれたのです。低学年のときから見守り続けていたものの、どう思ってくれているのかはわからなかったので、その言葉を聞いてとても嬉しかったです。中学1年生になった今では、すっかりみんなのお兄ちゃん的存在に。彼の発案で、みんなで紙飛行機をつくって飛ばす遊びが流行るぐらい楽しんでくれています。こども食堂をやっていて嬉しいのは、こうして子どもたちが大きくなっていく姿を継続して見られること。こども食堂が彼の居場所になったのかなと嬉しく思っています。

テキスト, ホワイトボード

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地域食堂かば亭(札幌・豊平エリア) 井上寿枝さん

他人だからこそ頼れる、それがこども食堂

登壇者の発表を聞いた後は、会場のみなさんから感想を伺いました。その一部をご紹介します。

――こども食堂は、勉強とはまた別の生きる力を育む場所だと感じました。

――こども食堂にいるときは、他人に子育てを助けてもらえることがこども食堂の意義の一つだと思いました。

――他人の善意を素直に受け取れるようになるのが、こども食堂の特徴だと思いました。

――保護者とどう関わるかは、やり方もスタンスもそれぞれ。どのような支援をするにしても、相手が心を開くタイミングを待つことが大切だと感じました。

こども食堂を体験しよう!

ワークショップの最後には、むすびえ理事長の湯浅誠より講演を行い、地域の居場所が必要とされる背景から、こども食堂が目指す場のあり方などについて、お話をさせていただきました。こども食堂には決まったプログラムはなく、それぞれの運営者が思いをもって、十人十色の場づくりをされています。このレポートをお読みのみなさまも、「食べるだけじゃない」を体験しに、ぜひお近くのこども食堂に足を運ばれてみてはいかがでしょうか。

北海道でこども食堂の活動に取り組まれているみなさん、ワークショップへのご協力を誠にありがとうございました。

屋内, 人, 天井, テーブル が含まれている画像

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【開催概要】

「こども食堂公開ワークショップ 『話そう!広めよう!』~食べるだけじゃない!?こども食堂で起きていること」in 北海道

開 催 日:2023年7月2日(日)13:30-16:30

開催場所:札幌国際ビル 国際ホール

主  催:こども食堂北海道ネットワーク、特定非営利活動法人全国こども食堂支援センター・むすびえ 

共  催:函館国際交流センター、WEWとかち、旭川おとな食堂

後  援:北海道、札幌市、協同組合ネット北海道、北海道新聞

登 壇 者:岡本千晴(旭川おとな食堂/旭川市)、亀岡純子(こども食堂ぐれ~す/札幌市)、井上寿枝(地域食堂かば亭/札幌市 )、髙橋佑実(地域食堂まんまる/函館市)、若菜順(芽室子ども食堂・帯広子ども食堂/帯広市)、野澤美香(よるちせ・あさちせ/札幌市)※こども食堂名五十音順

ファシリテーター:湯浅誠(特定非営利活動法人全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長)、梅林千香子(特定非営利活動法人全国こども食堂支援センター・むすびえ)